教室紹介 Classroom introduction
教授ご挨拶
内科学第四の教授からのご挨拶です。
みなさんこんにちは。私たちは「循環器内科」「腎臓内科」の2つの診療科を持つ講座であり、私たちの使命である内科医療、救急医療、地域医療を担う人材を育成に取り組んでいます。
私が2008年5月に島根大学医学部内科学講座内科学第四に着任したときに「断らない診療」「どこへ出しても恥ずかしくない人材育成」を目標に掲げました。循環器内科では毎朝集合し、入院した症例、重症例や研修医の受け持ち症例を短時間で報告してもらうカンファレンスを続けています。それぞれの臨床経験を活かして議論し、わからないことは一緒に学んでいます。
私たちは症例から学び、さらには書かれた医学から学びます。沖中重雄先生は東京大学での最終講義で「書かれた医学は過去の医学であり、眼前に悩む患者のなかに明日の医学の教科書の中身がある」と残されました。沖中先生の言葉のごとく、私たちは先人の書かれた医学によって学んでいます。自分たちにも眼前で苦労した症例を形にして伝えていく役割があるはずです。症例報告は、情報としての価値とともに、自らが臨床医としての知識、技術を向上させる上で大事な手法です。そこからさらに臨床研究や基礎研究につながっていくはずです。
医局とは「安全基地」です。心理学で安全基地とは避難できる場所という意味で、人間のやる気と深くかかわっていると言われています。医局は自分たちのよりどころであり、そこで成長し、鋭気を養い、そして新たな目標に向かっていける場所です。
私たちは結束と多様性の中、大学・地域が一致団結して総合力のある循環器専門医・腎臓内科専門医、そしてコロナ後の世界で活躍する指導医を育成していきます。
教授 田邊 一明
教授経歴
- 1985年3月
- 島根医科大学医学部卒業
- 1985年4月
- 島根医科大学 第四内科入局
- 1986年8月
- 益田地域医療センター医師会病院 内科
- 1987年7月
- 島根医科大学 第四内科医員
- 1989年4月
- 国立循環器病センター 内科心臓部門
- 1991年7月
- 島根医科大学 第四内科助手
- 1997年7月
- 米国Mayo Clinic留学
Senior Research Fellow, Internal Medicine and Cardiovascular Diseases
- 2000年1月
- 神戸市立医療センター中央市民病院 循環器内科医長
- 2008年5月
- 島根大学医学部内科学講座内科学第四 教授
循環器内科診療科長
- 2019年10月
- 島根大学医学部附属病院 副病院長 兼任
腎臓内科の教授から就任のご挨拶です。
令和5年1月1日付けで、腎臓内科教授を拝命致しました神田武志と申します。
就任のご挨拶を申し上げます。
私は新潟県で生まれ育ち、父は県内各地の関連病院で勤務し父の地域医療に貢献する姿を間近で見てまいりました。今回出雲市に着任となりましたが出雲市は全国で新潟市についで神田の苗字が多い市町村であり、島根県とのご縁を感じております。
平成9年に慶應義塾大学医学部を卒業し内科学教室に入局、関連病院における研修を終えた後、医師5年目に母校の腎臓内分泌代謝内科に入局いたしました。高血圧性腎硬化症など高血圧によって引き起こされる臓器障害について研究を行い、平成18年より米国Harvard大学Brigham and Women‘s Hospitalに海外留学し、血管の高血圧、肥満における役割について研究を行いました。帰国後、地域の中核病院で内科医長として勤務した後、平成21年より慶應義塾大学の教員として慢性腎臓病について診療、基礎・臨床研究をすすめて参りました。
全国の慢性腎臓病の患者数は1,330万人(成人の約8人に1人)と推計されており、新たな国民病といわれています。慢性腎臓病が悪化しますと透析導入に至りますが、島根県では高齢者の増加も相まって透析患者数は増加し続けています。また慢性腎臓病の危険因子である高血圧の島根県内の有病率は高齢者で50%以上となっています。地域の先生方のご協力を仰ぎながら慢性腎臓病、高血圧診療を中心とした高齢化対策に取り組む所存です。
研究に関しては高齢化・島根地域にフォーカスした研究を行って参ります。基礎研究として代謝異常から進行する腎臓老化の解明を目指し共同研究をスタートさせました。島根県は百寿者が10年連続全国最多であり、臨床研究として県内百寿者の健康長寿メカニズムの解明を行って参ります。
これまでの経験を活かし島根県の医療に貢献できるよう精進して参ります。今後とも腎臓内科にご指導、ご支援を賜りますよう何卒よろしくお願い申し上げます。
腎臓内科教授 神田 武志